広域基幹林道 塩江琴南線

市内でも雪が積もったので
スタッドレスを履いたクロカン4WDの威力を確かめに
そこへ行ってきた。


そこはとても怖かった。


鼻歌・口笛・マリオの曲♪ は往路の前半で消え、
あとは自然と自分との戦いだった。


行く手を阻む障害物、
そこにあるはずの道・マイロードがごっそり無くなっている、
幻聴が聞こえ、アドレナってくる脳。


あああああ。ああ 怖かった。



▲「道の駅しおのえ」あたりから山に入ったところ「内場ダム」@14:52,@14:53

▲ここまでは後輪駆動だけで来れた。@15:10
 ここであきらめた前車の痕跡をながめてニヤニヤしながら、
 四輪駆動にチェーーーンジ!!
 (いったん止まると後輪だけでは進まなくなった…)

▲さあ!ここからは前人未踏の地じゃ!!ゆくのだ勇者よ!!!@15:11

▲自分のタイヤの跡だけ!@15:12


▲だいぶ走ったぞ!@15:19,@15:20

▲第一の障害物「倒木」:をやっつけたところ@15:30
 これを見たときもう帰ろうかと思った。
 でも、まだ元気があって若かったので
 車載工具「金ノコ」と「ハンマー」で力任せに折ってやった。
 (細く見えるけどこんなんが道塞いでたらもう行かんやろ?ふつー)
 この第一の障害物がなんとかなるレベルだったことが
 後々の恐怖体験を招くそもそもの原因なのだ。

▲このあたりから“香川”じゃなくなってくる。@15:35
 けど、まだ マリオ♪が出てくるレベル。


▲雪の重さに耐えきれずしなだれた竹が行く手を遮ります。@15:57,@16:08
 この後、これの処理を何十本もすることに!!
 その度に葛藤があるのだが、件の倒木撃破でついた勢いは止まらない。
 (もっと高度があれば竹なんて生えないのに…と思いながら)
 (それだと逆に倒木だらけになるか…)

▲これの危険度がわかるかしら。@16:19
 誰も通ってない雪山道を一人で進むのは、ただでさえ超危険。
 その上、障害物をよけて変なルート(超路肩とか)を通るからなおさら。
 携帯は余裕で圏外、ここまで障害を処理して記念撮影してノロノロ進んでるけど
 だーーーーーぁれにも会わない。人影が見えない。住居がない。なにもない。
 のでね、スタックとか脱輪とかバッテリー上がりとかしたら即死亡なのよ。
 それで、この図にある凹みはすごおく深いのです。そうは見えないけど。
 はまったらたぶん抜けられない。
 なので凹みをまたぐようにしてギリギリで通過するのです。
 足で踏みまくって地形を探った跡から僕の気持ちを感じ取ってください。
 (ここらでノー天気な歌は消え、頭痛がしてくる)
 (ものの優先順位がおかしくなって、
  「人間なら少々の穴にはまったって、怪我ですむわ」
  「人間が犠牲になって道を切り開くんや」などと考えるようになる)
 (もう引き返すことはできない。意地と惰性で進むんだ)

▲まぁ軽い落石もありつつ@16:43

▲とおおおーーーーーーくに屋島らしきシルエットを見つけ、@16:52
 やはり香川なんだなと思いたいが、
 心は「ここはどこだー!!」状態。 

▲こんなん…@16:54

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 ここまで、さんざん文句をいいつつ走ってきたけど、
 実は何度も車両通行止めを無視して来たのです。
 それで何度目かの車両通行止めの標識。
 ちょこーんと 車両がとおれるだけの余裕のスペースをあけて置いてあるので
 「またやなー」と思いつつ慎重に進入してコーナーを抜けた瞬間
 突然、青春の暴走旅にピリオドが…




▲これはもう行けん。@17:08
 画面右端のヒモみたいなやつ、ガードレールですから!
 単車でも無理。
 自転車も無理。
 かろうじてそれなりの格好と覚悟をした人が歩きでやっと通れるレベル。
 「そうか、今年の台風と大雨で、ここも崩れたんやな… … …」


 近距離にあるスケールの大きな状態なので、
 超広角レンズじゃないと全貌をとらえきれません。
 (これは、画像を繋ぎました。繋ぐつもりで撮らなかったから後で苦労した…) 


▲右のは、ちぎれた道路(アスファルト)@17:09
 奥の方にあるヒモみたいのがガードレール(一応端から端まで繋がってはいる…)


▲こんな形で最期を迎えるなんて…@17:10
 己を犠牲にしてここまで進ませたのにね。涙がキラリです。
 
 
 ここまで、2時間ですよ。
 あんな道を2時間も。
 もう8〜9割方走り終えているんです。
 でも、どうやっても進むのは無理なので引き返すことにしました。

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 冒頭に書いた、あの異常状態
 あれは 復路での出来事なんですねぇ。


 まずは下の写真をご覧ください。



▲なぜこんなに暗い…@17:14
 さっきから4分しかたってないのに なぜこんなに暗い(怒り


 引き返すと決めたとたんに暗くなった気がする。
 それは心模様そのものなのか?


 天気も急変してみぞれや吹雪やらがじゃんじゃん降ってくるし
 どんどん暗くなっていくし。


 ステアリング辺りから 何かの泣き声のようなのが聞こえるし
 幻聴だと思って真剣に音を聞いてみると、よけいにはっきり聞こえるし!


 怖すぎるので、ここまでBGMなしでしたが
 応援歌:東京事変を大音量でかけることにしました。

 
 でも…
 曲と曲の無音部分や、静かな曲だと聞こえるんだよぉぉぉぉ!!!
 怨霊のすすり泣く声がよぉ(涙


 こわいんだよぉ ここは山奥なんだよぉ
 だぁれにも会ってないし バリバリ圏外なんだよぉ
 全身の鳥肌が治まらないんだよぉ


 もう何が出てきてもおかしくない
 呪怨でも貞子でも山賊でも来やがれ!!
 と覚悟を決めて、「一度通った道さ」
 WRCばりに走りましたよ。

 
 ものすごい形相で、顔を真っ赤にして血眼で取り憑かれたように運転する29歳男。
 きっと誰かに会っても
 相手が怖がるんじゃないかな。

 
 途中の分岐でさっさと人里に下りたいけど
 今の状態で 走ってない道を走るのはあまりに危険と思い
 往路のノー天気な自分を呪いながら必死で道の駅を目指しました。
 (人里に繋がっている確証はないし)


 やはりアドレナってると、来た道さえもわからんようになるもので
 曲がらないといけないところを直進して、
 いつのまにか見たことのないところを必死で走っていました。


 帰り道を間違えたので絶対魔界に入ったんだと思いながらも
 すでに道幅は狭く、突き進むしかありませんでした。


 2時間かけたところを気持ち的には20分で戻り
 いつのまにか集落の中を走っていました。
 絶対 鬼の家に違いないと思いながら。


 心の目をつぶり前だけを見て走っていると
 道路の灯が見えてきました。
 きっと193号線です! 現世に戻れたんだ!!


 (道に出る前に川が流れてるんです。)
 (今思うと、三途の川ですね。ははは。)


 今は生きてますけど、よく無事に戻って来れたなぁと思います。
 デジカメにも画像がちゃんと写ってたけれど
 確認するまで不安だったもん。
 確認しても“変なもの”が写ってないかと心配だった。



 背中に“変なもの”を背負って帰ってたりして ひーーっっ!!!!

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家を出たのが14時ちょうど、
林道の入り口に来たのが15時
崩落現場に着いたのが17時
必死の思いで家に帰り着いたのが19時だから
20分だと思ってたのは1時間だったんですねぇ。


というかねぇ
家に着いても泣き声がするんですよねぇ


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仲間がいて、朝出発ならもう一度行ってもいいな。
四駆の威力とスタッドレスの威力と
最低地上高の意味が十分にわかった恐怖体験でした!!!!




あ、そうそう この林道は
行いの善い人には
こんな仏さまのような顔を見せてくれるようですよ
http://www.rindo21.com/sikoku/kagawa_sioekotonami/